蝶の羽ばたき -SERAPH- 「観測開始。」 「第十二対象──確認。」 「理由は不要。」 「……ただ、眺める。」 ネオンに濡れた 夜のスクランブル 無数の命が また瞬いた その中で君は あまりに小さく 神はなぜ君を ここへ選んだ 動かぬ星座と 変わらぬ理論 すべての明日は 計算できる なのにその笑顔 予測を超えて 静かなノイズが 心を叩く 未来は 狂わない 世界は 揺るがない そう信じて ここまで来た ヴァルキリーの この瞳では 君の涙を 測れない 人間に戻る その一歩だけ 正義の法則 超えていく ちぐはぐな その足音が 世界を少し 揺らしてる 雨に濡れた街 君は振り返る 誰も知らない 子供をかばった その行動は 非効率です そのはずなのに 胸がざわめく 十二のロッド ひとつだけ暗い その理由さえ まだわからない 観測だけを 続けるはずが 君を探して しまっていた 論理では 解けない 式には ないもの それを君は 笑顔と呼ぶ 「観測。」 「解析。」 「予測。」 「────ERROR」 君が怒って 君が笑って 君が泣いて また笑う そのいちいちが 未来をずらす 蝶の羽音 ひとつ分だけ ヴァルキリーの この瞳でも 今は揺らぎが 見えている 君が振りまく 小さな羽は 永遠さえも 塗り替える その一歩先 まだ見たいと 思ったことは ないはずなのに 「観測終了。」 「…………」 「終了。」 「……できません。」